糖尿病

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生活の中で進んでいく糖尿病

正常な人が、急に糖尿病になってしまうわけではありません。徐々に進行して、糖尿病と診断される状態になるのです。正常から完全な糖尿病に進行するまでには、必ず中間の期間があります。「糖尿病の予備軍には入りますが、まだ糖尿になっていないからいいでしょう。」と言われている人もいるかもしれません。

この中間の時期は耐糖能障害と呼ばれる時期です。糖尿になってしまう前に、しっかりと気をつけて糖尿病に進展しないように対策していかなければならないとても大切な時期です。 この時期は膵臓がまだあまりやられていないので、治療に対して改善効果が高いと考えられます。膵臓を壊してしまってからでは遅いということです。

糖尿病に関して

医師から、「ちょっと血糖が高めですね。」とか、「糖尿の気がありますがまだ糖尿病になっていません。」と言われた人もおられるでしょう。

もし、医師から「あまり心配ない」と言われたとしてもあまり軽くは考えないで下さい。
正常な血糖の状態から外れているが、まだ完全に糖尿病になっていない状態は、耐糖能障害、境界型糖尿病にあたります。

進行して糖尿病に突入したとき、膵臓のインスリン産生細胞は約半分まで死滅していると推測され、健常人の約半分に減少していると言われています。
したがって、膵臓のインスリン産生細胞を救う為には、糖尿病と診断される前に手を打つ必要があります。

動脈硬化についても同じことです。境界型糖尿病になると、食後の高血糖が発生します。食後高血糖状態は、糖尿病になるまでずっと毎食後続き、徐々に血糖値は高くなっていく為、血管壁は度重なる高血糖によって破壊され、動脈硬化が進行していきます。ついに糖尿病の診断を受けたときにはかなりの動脈硬化が出来上がってしまいます。

糖尿になった後も、食後高血糖は更にひどくなっていき、動脈硬化はとどまるところなく悪くなっていきます。心筋梗塞や脳梗塞・足の血管が詰まる病気・虚血性腸炎・動脈瘤などを次々と引き起こしていきます。

これを防ぐには、糖尿病と診断される前に手を打つのがもっとも有効です。

こんな方は要注意!

  • ご両親など血縁者に糖尿病の方がいらっしゃる方
  • 肥満がある方
  • 症状としてよくのどが渇く方

上記のような方には、時機を逸することなく、当院で糖負荷試験を行って、食後高血糖が起こっていないかを調べることをお勧めします。早く手を打てば糖尿病にまで進行することを防げる場合も少なくありません。

当院での治療

糖付加試験に関して

前日夕食後から間食をせず、朝食も摂らないで来院していただきます。そこで糖分が75g含まれる糖液を飲んでいただき、飲む前と、飲んだ後30分、60分、120分の血糖値・尿糖・インスリン量・Cペプタイドの量を採血などで測定します。

糖尿病は膵臓のインスリンを作る細胞が減っていく病気ですので、インスリンがどの程度作られるかをまず調べます。そしてインスリンを作る細胞の力(残存膵臓機能)と、インスリンが体でどれくらい効きにくいか(インスリン抵抗性)によって治療を選択します。

年齢や体重の状態・脂質異常があるか否か、病歴・家族暦・食生活や運動の状態などによって、より適切な治療を選択していきます。

インスリンの自己産生能が低い場合は、外からインスリンを補充しないといけませんのでインスリン治療が必要になります。このような方で、「インスリンはいやだ、無理してでも飲み薬でいってください。」と希望される方がよくいらっしゃいます。しかし、膵臓に更に無理をさせると、これまで無理をしてがんばってきた膵臓がパンクをします。膵臓の細胞が急速に死滅し、最終的に残る膵臓の細胞が極端に減ってしまいます。そうなると自分で作れるインスリンが減るので、たくさんのインスリン注射が必要になってしまい、余計に悪い結果となります。要注意です。

「一度インスリンを使うと二度とやめられない」と、癖になるようにいわれますが、ご自分の膵臓機能が良好であれば、インスリンはやがて中止可能になるでしょうし、いったん残存膵機能が悪くなってしまった人では、どう逆立ちをしても自分の膵臓から出るインスリンが不足しますので、外からのインスリン補充をやめることはできなくなります。